夫婦で妊娠を考えたときに、子どもが健康で生まれてくれることを願うのは、親として当然のことですよね。
今は5組に1組の夫婦が不妊治療や不妊検査を受けている時代です。
このように不妊治療が当たり前になっている時代ですが、一方で“体外受精で生まれた子どもは、障害を持つ確率が高い”などという話もあります。
こんな話を聞くと、不安になってしまいますよね。
本当はどうなのでしょうか?この記事は、不妊治療中や不妊治療を考えているご夫婦に読んでいただきたい記事です。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
不妊治療での流産率は、年齢によって高くなっていきます
障害とは少し意味合いが変わりますが、妊娠初期の流産は、ほとんどの原因が赤ちゃんの染色体異常です。
まずは体外受精での流産率について少しご紹介していきます。
染色体異常は、ご存知の通り高齢になるほど確率が上がっていきます。
ですから、体外受精が妊娠しにくい原因のある30歳半ば~40歳代の女性にたくさん行われていることを思うと、自然妊娠より不妊治療の流産率は高いことが実情です。
体外受精での年齢別の流産率は、25~29歳で17.2%、30~34歳で18.5%、35~39歳で24.8%、40歳以上で42.2%以上です。
35歳以上の流産率はドキッとしてしまうほど高い数字ですよね。
染色体異常だけが原因ではないですが、このようにやはり年齢が上がるほど染色体異常・流産率が上がってしまうというのが事実なのです。
そして、これは自然妊娠の年齢別流産率と比べると、やや高い確率です。
ですが、自然妊娠での流産率は35~39歳で20.7%、40歳以上で41.3%ですから、大きくは変わらない数字と言えるでしょう。
まずは妊娠方法に関わらず、年齢によって染色体異常を引き起こす可能性が高くなるということを頭に入れておきましょう。
なんと、35歳を過ぎると1か月ごとに染色体異常の確率が0.5%ずつ上がっていくという報告もあるようですよ。
不妊治療を考えているご夫婦、ステップアップを迷っているご夫婦がいれば、年齢のことも考えて早めに治療を受けると良いでしょう。
不妊治療で生まれる異常児は自然妊娠と変わらない?
2010年に、日本産婦人科学会は「体外受精でも自然妊娠でも、奇形(染色体異常を含む)の発症率は変わらない」と報告しました。
体外受精での出生児の異常は1.7%、自然妊娠は1.5~2.0%という結果となり、研究では差が生まれなかったようです。
ただし、これは奇形など出生前後に明らかに分かる異常の確率です。
発達障害や自閉症スペクトラムなどの、現在問題になっている障害の確率は、まだ研究が進んでおらず分かっていないことが現状です。
しかし、現在体外受精は珍しいものではなく、2013年では37人に1人が体外受精で生まれています。
もちろん現在はもっと増えていることが想像できますよね。
日本で初めて体外受精で生まれた子どもは、すでに30歳代半ばの成人だそうです。
そんな中で、現在特に体外受精児について明らかに問題視されていないということは、過度に心配する必要はないのではないでしょうか。
このように、現在の研究では体外受精で生まれた子どもの異常率は自然妊娠と変わらないとされています。
研究中の段階なので心配もあるかもしれませんが、ご夫婦で話し合って納得して不妊治療を受けられると良いですね。
まとめ
体外受精で生まれた子どもに障害の確率が高いという報告はありません。
奇形(染色体異常を含む)の発症率は体外受精でも自然妊娠でも変わらないという報告はあります。
しかし、現在研究段階であり、まだはっきりとは分かっていないのが現状です。
体外受精を受けるご夫婦は、やはり数年かけてステップアップをしてこられたご夫婦や年齢を考えて早めに体外受精を考えるご夫婦が多いですから、年齢的に染色体異常が原因の流産率が高いことは明らかです。
年齢のことも考えながら、これからのステップアップについて考え、納得できる妊活を行っていきましょう。