妊娠・出産は多くの女性が経験する身近な出来事です。
そのため、妊娠をすれば無事に出産まで辿り着けると考えている人は少なくありません。
しかし、一定の確率で起きてしまうのが「流産」です。
今回は流産が起こる確率と、その原因についてお伝えします。
また妊娠がわかってから注意すべきことについても確認しましょう。
流産の確立は何%?
流産は全妊娠の15%で起こると言われています。
そのうち約80%が12週目までに妊娠が終了してしまう、「初期流産」だとされています。
つまり、妊婦が100人いればそのうち15人は流産をしてしまい、さらに15人中12人は12週目までに胎児の成長が止まってしまう計算になりますね。
100人中15人といわれると、意外と誰にでも起こりうることのように思えませんか。
なぜ12週目までに多くの流産が起こるの?
流産の原因の大部分が胎児の染色体異常による、成長のストップです。
両親から受け継いだ染色体に傷や異常があると、ある段階までしか生命として成長できないので、自然淘汰されてしまうんですね。
これは受精の段階で決まっていることであり、母体の過ごし方によって起こるわけではないとされています。
異常がある状態で、それ以上成長が出来なくなるのが、大体12週目までです。
そのため、流産の多くが妊娠12週目までに起こるとされています。
妊婦の方の間ではこの周期を越えられるかが、一つのポイントになっています。
「12週の壁」といった言葉が生まれるのも、このためです。
心拍確認後の流産率は下がるの?
一般的に胎児の心拍が確認できれば、流産率は5%未満とも言われています。
そのため、心拍が確認出来た段階で、ご両親などに伝える人も多いかと思います。
しかし、実は少し注意が必要なんです。
心拍が確認できれば、流産率が5%未満というのは経腹エコー(お腹の上から診るエコー)で心拍が確認できた場合の確立です。
一般的に妊娠初期に産婦人科で行われるのは経膣エコー(超音波のプローブを膣内に入れて診るエコー)になります。
経膣エコーは膣内に直接器具を入れるため、早い段階で胎児の心拍を確認することが出来ます。
一方、経腹エコーは子宮以外にも膀胱や腸といった内臓を通して胎児を診なくてはいけないので、ある程度数週が進まないと胎児の様子が診えません。
経腹エコーで胎児の心拍が確認出来るようになるのが、大体8~9週目以降です。
経膣エコーでは6週目には心拍が見えるとされており、ここで約2~3週間の差が生まれます。
妊娠初期は胎児の成長が著しい時期であり、2~3週の間に大幅に成長します。
その間に流産率も下がるため、経腹エコーで心拍が確認されれば流産率は5%以下だと言われるのです。
だから、経膣エコーで心拍が確認されたからほぼ流産しないということではないのです。
一説には、経膣エコーで心拍が確認された段階での流産率は30%と、まだまだ高い数字だとも言われています。
流産したことを告げると、両親もとても残念そうであり、もう少し安定してから伝えればよかったと後悔しました。
妊娠がわかったら気をつけること
初期の流産はそもそも防ぐことが難しいですが、母体で気をつけなくてはいけないこともあります。
代表的なものをまとめました。
タバコ
喫煙者の方は妊娠がわかった段階ですぐに禁煙しましょう。
タバコによって次のような影響があることが分かっています。
妊娠中の喫煙によって、吸わない妊婦に比べ約27%早産のリスクが高まります。
妊娠中に胎盤が剥がれてしまう「常位胎盤早期剥離」や、胎盤の位置が低くて子宮の出口を塞いでしまう「前置胎盤」になる頻度が高くなり、結果的に流産しやすくなってしまいます。
喫煙によって、胎児に必要な栄養や酸素が十分に行き渡らなくなってしまいます。
その結果、胎児の成長に影響が出て口唇裂や口蓋裂、先天性の心奇形、手足の欠損、内反足など、生まれつき奇形を持った赤ちゃんや、低体重の赤ちゃんが生まれてくる可能性が高くなります。
アルコール
妊娠中にアルコールを飲むと、胎盤を通じて胎児にもアルコールが届いてしまいます。しかも胎児にはアルコールを分解する能力がありません。
胎児にアルコールが蓄積されると「胎児性アルコール症候群」の赤ちゃんが生まれる可能性があります。
胎児性アルコール症候群を発症すると、低体重・低身長といった発達の遅れや、ADHDやうつ病、学習障害などの精神疾患が起こる可能性が高まります。
また、全体的に平たくて顔のパーツが小さい、特徴的な顔つきに生まれることがあります。
カフェイン
1日のカフェイン摂取量が100mgを超えると、自然流産する確率が上がるという研究報告もあるので、コーヒーを飲むなら1日1杯までにしておきましょう。
自転車・バイク
乗ることで直接胎児に影響する訳ではないとされていますが、転倒によりお腹を痛める危険性があります。妊娠が分かったらなるべく移動は車や徒歩、公共交通機関を利用しましょう。
まとめ
今回は流産の確立についてお伝えしました。
染色体異常などが原因の流産は防ぐことが出来ませんが、最初から確立として理解していれば心構えも出来ます。
もしも流産をしてしまったとしても、母体が原因であることはほぼ無いとされていますので、自分を責める必要はありません。